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オリジナルBL〜ヘタレ主人公と神職とネコミミ少年<けもみみ>

愛なき花の見る夢は


ねこみみ少年の「おしゃかにゃ!」#13

*けもみみの話です。


「ユキちゃんはどの鯉のぼりがいい?」
と、店主がユキの隣に腰を下ろしながら聞いてきた。           
「んとね……あの、みかんいろのがいいにゃ」



 

#13

「こいにょぼりのけーき……」
 ショーケースに張り付いたまま、呟いたユキ。
ああ、きっと欲しいんだろうなと俺は苦笑する。
 値段の高いものでもないし、ユキがこれで喜んでくれるならたまにはケーキもいいか、と店主に声を掛けようとした時。
「ユキちゃんはどの鯉のぼりがいい?」
と、店主がユキの隣に腰を下ろしながら聞いてきた。           
「んとね……あの、みかんいろのがいいにゃ」
「みかん色かぁ~ユキちゃんは可愛い言い方をするんだな」
 笑いながら、店主がユキの頭をくしゃくしゃ、と撫でる。
 確かにオレンジ色を「みかんいろ」と言うのは初めて聞いた言葉だ。
可愛いなぁ、ユキは。

 いや、ちょっと待てよ。
 俺が注文する前に、店主が勝手にそのオレンジ色の鯉のぼりケーキを箱に入れ始めたぞ。
買うつもりは勿論あるんだけれども、俺の事を無視して事を進めるのはどうかと思うんだが……。

「ほい、ユキちゃん。おじちゃんからのプレゼントだ!」
「うにゃ! ありがとにゃっ!」
 なんと、店主はユキにそのケーキをプレゼントしてくれたのだ。
これにはさすがに参ってしまう。
「す、すみません」
 慌てて礼を言うと、店主は満足げな笑みを浮かべながら俺の背中を叩いた。
「なぁに、可愛いユキちゃんが喜んでくれたらそれでいいのさ!」
 ユキはにこにこしながら小さなケーキの箱を受け取ると、ぺこりと頭を下げた。
「こいにょぼり、ありがとにゃ!」


〜つづく〜

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テーマ : 自作BL連載小説    ジャンル : 小説・文学
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滝川勝之

Author:滝川勝之
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